[台湾映画]「幸福路のチー」のあらすじと感想、台湾の歴史を解説

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小時候,我們都希望成為閃亮亮的大人、長大後,卻只想要平凡的幸福

小さい頃、私たちは皆キラキラ光る大人になりたかった。でも今はただ普通の幸せが欲しい。

 


公開当時、台湾セブンイレブンでやたら郷愁を誘う映像広告が流れていました。

それがトップの動画です。

 

その後、台湾人の妻と本編を一緒に視聴しましたが、ボコボコ泣いていました。

それに加え、僕自身も「幸せって何だろう」って思っているので、感慨深い内容でした。

日本語の予告はシネマトゥデイのユーチューブをどうぞ。

 

今回はこの作品の内容を振り返りつつ、その背景なども調べてまとめました。

「幸福路のチー」のあらすじ

東京アニメアワードフェスティバルでグランプリ獲得

日本で公開はされていませんでしたが、2019年の11月より日本各地で公開されることになりました。

日本語で作品が視聴できるのは良いことです!

日本の国際アニメーション映画祭「東京アニメアワードフェスティバル2018(TAAF2018)」の長編コンペティション部門で、台湾の長編アニメ『幸福路上(オン ハピネス ロード/英題:On Happiness Road)』(2018年公開)がグランプリを獲得した。
長編アニメ『幸福路上』は2013年、12分間の短編アニメとして誕生。4年の歳月をかけて長編作品として生まれ変わった。素朴ながら味のあるタッチで1人の女性の成長を描いており、心温まるストーリーが見る人たちの涙を誘うと話題になった。中国語映画のアカデミー賞とされるゴールデンホース・アワード(金馬奨)で最優秀女優賞を受賞した実力派女優、桂綸鎂(グイ・ルンメイ)さんが主人公・林淑琦の声を担当。台湾のトップアーティストである蔡依林(ジョリン・ツァイ)さんが主題歌を歌う。このほか、台湾映画『海角七号 君想う、国境の南』(2008年)などで知られる映画監督の魏徳聖(ウェイ・ダーション)さんも声優の一人として、このアニメにおけるキー・パーソンを演じている。

東京アニメアワード、台湾の長編アニメ『幸福路上』がグランプリ

主人公のチーはアラフォー台湾女子

台湾首都の台北、そのベッドタウンで新北市で育ったごく普通の台湾女子林淑琪(チー)。

新北市には幸福路という道があり、そこが物語の舞台になります。

だから「幸福路のチー」というタイトルなわけです。

 

ちなみに中国語タイトルは「幸福路上」です。

これは「幸福路で」という意味と「幸福になるまでの道のり」という意味の二つの意味があります。

日本語タイトルではうまく表現できていないのが残念ですが、これは仕方ありません。

 

で、この作品ははチーの幼少時代から大人になるまで、なった後の半生、つまり「幸福になるまでの道のり」を振り返る映画です。

チーの半生は「台湾」の半生と重なる

蒋介石の死んだその日、1975年4月5日に生まれ、6歳で新北市の幸福路へ引っ越し、小学校入学。

蒋介石というのは中華民国の国共内戦で後退し、台湾に立てこもっている中国国民党のボスです。

 

当時中国の国共内戦で劣勢だった中国国民党は台湾に後退してきた後、今度は日本時代以前から台湾にいた「台湾人」とも揉めます。

どうしようもならなくなり、蒋介石は台湾に世界最長記録の戒厳令を敷き、言論を封殺しました。

チーはその暗い戒厳令の時代に中華民国の教育を受け、猛勉強をして台湾随一の高校北一女から台湾随一の台湾大学へ進学。

 

しかし、親の「医者になって欲しい」という希望を押し切り文学を専攻しました。

卒業後は、ロクな仕事が見つからず新聞社で朝から晩まで働く毎日

 

台湾の貧しい時代を生きた母は守銭奴で、父は警備員のバイトで何とか食らし、金が原因での喧嘩も。

そんな折、台湾大地震が起きて友人が死んだり、政治関連の暴動に巻き込まれ疲れ果て、叔父のいるアメリカに渡りました。

アメリカに希望があると思い渡米し、アメリカ人と結婚し妊娠するも、離婚を決意。

親の望むことと違うことばかりしてきた自覚があるので、親の優しがが身にしみるチー。

幸せになりたいと願いつつ、おばちゃんである阿嬤「ご飯が食べられれば、それで幸せなんだよ」という言葉が心に響きます。

「幸福路のチー」の感想と考察

あらすじを追ってるだけでなんだか泣けてきました。

 

「小さい頃、私たちは皆キラキラ光る大人になりたかった。でも今はただ普通の幸せが欲しい。」

このキャッチフレーズが感情を刺激します。

 

明るい映画なのに暗い映画で、ただただ平凡な日常を偽り誇張なく描いています。

林淑琪の未来に幸福はあるのかな。

ただ普通に幸せになりたいだけなのに、それがなかなか難しい現代社会を台湾独特の雰囲気で描いています。

 

この作品は台湾やアメリカの時事問題も多く登場して、外国人である僕らもその時代の雰囲気を味わえます。

 蒋介石、環境汚染、経済成長、白色テロ、混血、原住民、差別

 鄭南榕、陳水扁、台湾大地震、911同時多発テロ、2003年アメリカ大停電結婚、結婚、妊娠、離婚

こんなテーマが散りばめられています。

 

内容的にも「台湾感」が非常に強くて、台湾好きにはたまらないと思います。

 

オススメです。

「幸福路のチー」に出てくる台湾の歴史上の出来事とキーワード

この作品には台湾の歴史上の出来事が数多く出てきます。

台湾大地震のように作品の内容に深く関わるものから、「背景」として影響を受けている事件まであります。

 

この作品を深く理解する上でこれらの出来事はとても大事です。

しかしながら一般的には台湾の歴史なんてほどんど知られていないので、僕自身の勉強がてらちょっと調べてみました。

戒厳令

あまりご存じない方も多いと思いますが、台湾では世界最長記録の戒厳令が敷かれていました。

この時期は政府に楯突いたり、そういった疑惑がもたれたり、誰かの告げ口にあったら、ろくな裁判もされずに死刑にされたり流刑にあったりしていました。

 

チーの両親はチーに医者になるように望んでいました。

これは日本統治時代から続く台湾人の非差別意識から来る自助的な考えです。

要するに、いくら優秀でも国政では上に立てないので、手に職をつけるため医者や弁護士になることを望まれていたのです。

 

日本人が日本で医者や弁護士になるのと、台湾人が台湾でそのような期待をかけられることは、意味が違うんですよ。

蒋介石総統死去

中華民国の独裁政治の象徴である蒋介石が死にます。

チーはその日に生まれました。

新しい社会の始まりと、この物語の始まりです。

蒋経国総統就任

蒋介石の息子の蒋経国が跡を継ぎます。

美麗島事件

台湾の民主化運動。

陳水扁が台北市議に当選

民進党結成

戒厳令解除

蒋経国死去・李登輝総統就任

520事件

郷土教育の開始

陳水扁とその娘

独立台湾会事件

陳水扁が台北市長に当選

李登輝が総統当選

初の国民直接総統選挙

台湾大地震

地球圖輯隊

1999年に921大地震が発生。

陳水扁が総統当選

民進党

台湾初の政権交代

米国同時多発テロ

ウィキペディアーアメリカ同時多発テロ

2001年の同時多発テロ。

この大惨事はエポックメイキングでした。

ニューヨークの大停電

ウィキペディアー2003年北アメリカ大停電

ひまわり学生運動

ウィキペディアーひまわり学生運動

時の馬総統が台湾を中国に売ろうとしていたので、みんなが反対しました。

中国語と台湾語

物語で、小学校に上がったチーが中国語を覚えて家に帰ります。

そこでそれまで台湾語で「ポンイー」と表現していたソファーを「シャーファー」という中国語で呼びます。

そして中国語の苦手な父に発音させ「パパは中国語が下手くそだね」と笑うシーンがあります。

 

これは台湾が中国(中華民国)になり、中国語を強制されている悲哀を表現しています。

こうやって70年がたち、今となっては台湾語が喋れない若者も少なくありません。

 

で、さらに面白いのが中国語で「シャーファー」と言っていることです。

これは英語の「ソファー」から入っていった言葉です。

 

中華民国の教育も中国を強制しているようで、アメリカの影響を多大に受けています。

非常にシュールな滑稽さがあり、台湾人の非常に複雑なアイデンティティを、うまく表現しているものだと思いました。

「幸福路のチー」を観る方法

この映画を観る方法を2つ紹介します。

iTunes

台湾アカウントお持ちの方はこちらからどうぞ。80元です。

ネットショップのDVD

楽天でブルーレイやDVDを入手する方法もあります。

台湾の歴史、おまけ

中華民国と台湾の関係と歴史についてはこちらからどうぞ。

[台湾歴史]中華民国の地図を購入〜台湾と中華民国の関係と違いとは

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