[台湾経済]台湾五大家族まとめ〜台湾の財閥情報もどうぞ
はいどうも、台湾の歴史について学ぶ人です、こんにちは。
現在はとても発展している台湾。
その経済界を裏で牛耳っているといわれる「台湾五大家族」を聞いたことはありますか?
僕は聞いたことがあっても、なんとなくしか知らなかったので、改めて調べてみました。
すると芋づる式に台湾五大金融家族や台湾新五大家族、台湾の財閥についてもわかったので、一緒にまとめました。
これを読むと、台湾400年の経済の流れがなんとなくわかるようになるかもしれませんので、ぜひ最後までお付き合い下さい。
目次
台湾五大家族
台湾には昔から台湾五大家族というお金持ち一族がいます。
清朝時代に中国大陸からやってきて、日本時代を経て、現代まで台湾経済に大きな影響を与えています。
台湾五大家族はそれぞれ以下の通りです。
基隆の顏家
板橋の林家
霧峰の林家
鹿港の辜家
高雄の陳家
各家族の本拠地は以下の通り。
それぞれ調べたので、順に見ていきましょう。
基隆顏家
まずは九份の金鉱などで有名な基隆顔家。
日本の歌手、一青窈はこの家系です。
顏雲年
基隆顔家の始祖とも言える顔雲年は、日本統治時代に九份一帯で金鉱経営、一山当てました。
顏惠民
次に、顔恵民は雲年の孫です。
日本統治時代から日本で過ごすも、終戦後台湾へ帰郷。
しかしながら台湾の暮らしは合いませんでした。
なので戒厳令時代に日本に密入国。
そのまま日本で生活し、日本人の一青和枝と結婚しました。
一青窈・一青妙
そして顏惠民と一青和枝の娘で、惠民が亡くなってから一青姓を使用するのが二人の娘。
一青窈は日本のミュージシャン、一青妙はエッセイストです。
顔家家系図
ーWikipediaより引用して丸つけました
板橋林家
基隆顔家の次に、板橋林家。
次項の霧峰林家と合わせて「天下に2つの林家あり」と言われています。
現在は華南銀行に大きな影響を持ちます。
林熊徵
林熊徴は華南銀行を創立しました。奥さんは日本人。
息子の名前は林明成で華南銀行の現副董事長、その奥さんは基隆顏家の顏絢美。
霧峰林家
三番目に霧峰林家です。
現在の彰化銀行に影響を持っています。
現在も対中の霧峰には林家の旧家があり、見学することができます。
一度、大地震でぶっ壊れたので再現されたようです。
日本語のパンフレットもあり。
こう説明されています。
李鴻章の文章も飾られていました。
もしかしたら見たことあるかもしれないのがここ。
蔡依林と安室奈美恵のMVがここで撮影されたんですよね。
林献堂
霧峰林家で一番有名なのが林献堂。
日本時代の大物で、台湾での「大正デモクラシー」を牽引しました。
日本時代の政治的なことを調べていると必ず名前が登場する大物です。
台中一中なんかはこの人が「台湾人のため」に作った学校です。
今やそのあたりの繁華街「一中街」は台中の代名詞的存在です。
Lyra
日本で活躍する芸能人。
テレビで霧峰林家の人間だと言っていました。
芸能事務所の情報ページ。
そのほか家系図をどうぞ。
鹿港辜家
そして鹿港辜家。
現在は中国信託グループの運営などで現在も国内外で強大な力を持っています。
台北の南港にある中国信託総本部の1階に、無料で中国信託の歴史を知るための博物館みたいなのがあります。
辜顯榮
日清戦争での台湾割譲時に日本に協力し、日本から徴用され辜家繁栄の礎を築きました。
政府から専売権を与えらえ、その時の台北の家は、台北市に現存しています。
迪化街にある辜顯榮の故居
これは大稲埕(乾物で有名な迪化街)にあります。
路地裏にあるのでわかりづらいですが、普通に見ることができます。
住所:台北市大同區歸綏街303巷9號
辜振甫
振甫は顯榮の息子。
日本撤退後の台湾財界で活躍し、台湾証券取引所初代理事長、海峡交流基金会の初代理事長をつとめました。
1966年に後の中国信託銀行になる中華證券投資公司を設立。
早稲田大学の辜振甫記念アトリウム
日本での関連施設として、早稲田大学に辜振甫記念アトリウムがあります。
これは学生会館の入り口ロビーなので、学生会館に出入りする人はほとんどここを通ります。
しかしながら説明は上図のプレートがちょろっと貼ってあるだけなので、ここが台湾人ゆかりのアトリウムだと思っている人はかなり少ないとおもわれます。
辜濂松
つぎには顯榮の孫の濂松。
元中国信託銀行董事長で「シニアクー」と呼ばれたりしています。
息子の一人はもちろんジュニアクー。
辜顏碧霞
濂松の母親。基隆顔家出身。
甥(つまり濂松のいとこ)が現中国信託グループ董事長顔文隆。
辜寬敏
台湾独立運動家。
辜振甫の異母弟。
リチャード・クー
辜寬敏の子。
日本でも有名な経済学者。
辜家家系図
ーWikipediaから拝借したのに丸つけて注つけました
高雄陳家
大衆銀行を運営していたが、元大銀行に買収されました。
高雄医科大学の所有・運営をしています。
ちなみに高雄医大といえば、三芝三賢人の杜聡明ね。
あと、慶応留学の陳田柏さん。
台湾五大金融家族
ここまで「台湾五大家族」を調べてきて、現在でも台湾を代表する企業に関連あると勘違いしていましたが、どうやらそうではないようです。
台湾五大家族とは別に近代台湾の台湾五大金融家族というのがあり、台湾の金融界で大きな存在になっています。
次に台湾五大金融家族を見ていきましょう。
富邦國泰蔡家
富邦銀行と國泰世華銀行を運営する蔡家。
台北のMRT駅には国泰世華銀行(キャセイユナイテッド銀行)のATMが入っていますよね、あの緑と黄色の。
元々は1957年に蔡萬春と弟の蔡萬霖・蔡萬才が事業開始しました。
ちなみに香港にキャセイパシフィック航空という航空会社がありますが、無関係です。
じゃ「キャセイってなんなの?」ということですが、「中国」の昔の名称なんです。
蔡萬春
国泰創始者
蔡萬霖
霖園創始者
国泰金融、国泰地産のボス。
蔡萬才
富邦創始者
富邦商業銀行、富邦人壽保險、台灣大哥大、富邦媒體科技股、MOMO購物網のボス。
奥さんは楊湘薰という方で、前出の林献堂の右腕である楊肇嘉の三女。
新光台新吳家
新光グループと台新グループを運営する呉家。
新光集団は吳火獅が1945年に創業。貿易業から繊維産業を経て事業を拡大しました。
吳火獅の長男呉東進が新光金融グループ、三男呉東亮が台新金融グループを管理。
僕らがよく使う台湾の三越は「新光三越」です。
つまり台湾の新光グループと日本の三越伊勢丹の共同出資です。
ついでに台湾のファミマにあるATMは台新銀行ですね。
中信辜家
中国信託グループを運営する台湾五大家族でもある辜家。
元大馬家
高雄陳家の大衆銀行を買収した元大グループの馬家。
華南林家
台湾五大家族の板橋林家。
台湾新五大家族
台湾五大家族と、金融五大家族を紹介しました。
更に金融に限らない場合の台湾五大家族に代わる台湾新五大家族という概念もあります。
なるほど、台湾五大家族は一昔前の勢力であり、実はすでに新勢力が台頭しているんですね。
ということで、続いて台湾新五代家族を見ていきましょう。
台塑王家
台湾プラスチックグループの王家。
1945年に台プラを設立した王慶永は「台湾の松下幸之助」と呼ばれました。
台北市内から桃園空港へ行く途中にある長庚醫院はこの王慶永が設立。
ちなみにケータイ屋のHTCの創業者は娘の王雪紅。
遠東徐家
遠東グループの徐家。
遠東紡織、亞洲水泥、遠東百貨、裕民航運、東聯化學、宏遠興業、遠傳電信、遠東國際商業銀行などを持っています。
和信と中信の辜家
五大家族でも金融家族でもある辜家。
國泰と富邦の蔡家
金融家族でもある蔡家。
新光と台新の吳家
金融家族でもある呉家。
台湾の財閥
と、ここまで「台湾五大家族」「台湾五大金融家族」「台湾新五大家族」を見てきました。
以上は日本語で「財閥」の概念に相当する台湾の一族経営の企業群と認識していただいていいと思います。
最後に、その他の強大家族の企業グループも紹介します。
大同林家
大同電鍋のあの大同。
永豐餘何家
永豐餘集團の何家。
製紙業を中心に展開。
裕隆嚴家
中核の裕隆汽車は台湾四輪自動車業界の雄。
日産車のライセンス製造、販売で業績を伸ばす。
オリジナルブランドのLUXGENは全くパッとしませんが、会社は儲かってます。
台湾五大家族、関連書籍
先日、基隆顔家をテーマにした舞台を観てきました。
その舞台を観る前に予習として「私の箱子(一青妙)」を読みました。
一青妙さんが引越しをした時に見つけた、お母さんの宝箱にまつわる話。日本から台湾に嫁いで行って、さらに日本に帰国してからの様々な話が書かれているので、本当に興味深く読むことができました。
その中で自然に顔家についてのことや、時代背景なども説明されているので、非常によい勉強になりました。
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